(3/3)伊勢うどんをマフラーに/吉岡ペペロ
夕食を終えてベッドにふたりで寝転びながらあたしはアーヤを見つめた。夫婦岩、パワースポット、伊勢うどん、野球少年たち。そう言えば伊勢のひとびとはみんな親切だったな。なんかみんな喜んでいるようだったな。観光地ってそんなものなのかな。
この旅での出来事をアーヤへの視線にかさねていけた。
新幹線で名古屋に着いてからJRで伊勢に入った。車窓からの景色は思っていたより工業地帯、かと思えば田園だった。あたしはアーヤの頬や首のうしろにずっと手を当てていた。ハロー、ハロー、あたしはアーヤに信号を送る。家に来た専門家が触れ合うことから会話が始まるのだと教えてくれたからいつもそうしてる。
二見浦駅は無人駅
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)