(2/3)伊勢うどんをマフラーに/吉岡ペペロ
 
もう戻らなくてもいいような気がした。ガイドさんからもらった地図を頼りにアーヤとおかげ横丁を散策した。お土産をのぞいたりしているうちに端まで来てしまった。左のほうへ道路を渡ってすこし歩くと猿田彦神社があった。あたしたち以外に誰もいなかった。アーヤをしたに降ろしてそこで遊ばせた。アーヤは砂利をつかんでなにかを追い払うように投げていた。
 あたしたちの背後から、
「こんにちは」
 と野球少年がふたり朗らかに挨拶をしてきた。
 驚いたけれど自然とあたしも笑顔になって挨拶をした。なにかに洗われたように気分が明るくなった。
 しばらく遊んであたしたちはバスに戻った。




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