(1/3)伊勢うどんをマフラーに/吉岡ペペロ
 
 バスで朝日を浴びていた。ハロー、ハロー、こちら太陽系第三惑星地球、バスは太陽を左手にまっすぐ進んでいた。
 日の熱が生理のときの頭痛のように左頬とこめかみから立ち去らない。しばらく目を閉じた。顔にあった日射しの気配が消えて、目を開けてみた。朝日がこんどは右手前方から射していた。太陽をもう一周してしまったかのようだ。あたしは眠たい目に手を当てた。なんだか一年が経ってしまったみたい、それがあたしの胸を鈍く痛ませた。
 よこに座るアーヤを抱き寄せる。そしていつもしている自分への問いかけを始める。
「一年後のことも、十年後のことも、あたしには想像がつかない。近道でなくてもいいから、遠回りでいいから
[次のページ]
戻る   Point(1)