海になればいい(飽和編)/涙(ルイ)
陽が昇るのを待って 僕らはあてもなく電車に乗った
まだ人気はなく静かで ただやわらかい朝陽だけが車内を包み込んでいた
僕らは互いに黙って 流れていく景色を呆然と眺めていた
この景色の中に なにもかも捨てることが出来たなら
そんなことを考えてみたりしたけど
多分それは とても無意味なことだと ひとりごちて
小さなため息をひとつ 窓が一瞬だけ白く曇った
僕にとっても君にとっても 幸福という言葉は
とても重いものでしたね
初めて出逢った日 君は街灯のかたすみで風に吹かれながら
膝を抱えて座っていました
まるで捨て置き
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