大樹/あおい満月
 

鳴らすだろう。
そうして暖房で温まった
湯豆腐に宥められ、
またはじめから、
布をミシンで縫い始めるのだ。

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右手が白い粉を吹きながら
夜泣きをする。
あなたが宥めても宥めても、
右手は策略を練るように
泣き笑いを繰り返す。
(静かに!)
堪らなくあなたは叫びたくなる。
けれど、
瓶の蓋を力強く閉めて、
あなたは左右を警戒する。
そうでもしないと摘み出されて、
ここにはいられなくなってしまうから。
あなたのなかの大樹とつながる、
そう、この場所から。


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