孤独/ベンジャミン
外は雨
灰色の壁にカーテンがもたれる
裏に隠した影に「わたし」を探す
探す
見つける
爪痕のようなキズ
記憶を見つめる
何年か前に患った病
真夜中の病室は6人の病人よりも暗い
けれど騒がしい
騒がしくて救われる
一人がうめき声をあげれば
みな真似をする
生きていますよ と
夜が足踏みをするから
いつの間にか寝てしまう
寝ている人を起こしはしない
死んでいないからいいのだ
言葉を忘れないように本を読んだ
言葉は覚えていても中身を忘れている
言葉の中身だ
「孤独」という言葉の中身は何であったか
孤独・・・
孤独・・・ と
呟いてみる
爪痕のようなキ
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