在る ということ/たけし
スタッ スタッ スタッ
大きな白いイキモノが用水路を移動して来る。
僕は思わず沿いの遊歩道に立ち止まる。
スタッ スタッ スタッ
水かさは30?程、幅約1mの用水路を、そのイキモノは何か毅然とした様子で進んで来る。
僕は遮光サングラスを外し瞼をこじ開ける。
スタッ スタッ スタッ
白鷺だ。威風堂々、真っすぐ前を見やり、黒く細長い二本の脚を流れる水底に交互に踏み入れるーゆっくり リズミカルに 確信を持って。
僕はいつも川辺で遠目にしか見たことがなかったから、細く優雅なイメージしか記憶になかった。
スタッ スタッ スタッ
イメージを越えたその大きな肢体は
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