儚い音/
藤原猫
小さい頃 親は仕事で
ほとんど家にいなかった
祖母の腕枕で寝ているときに
耳元で聞こえる脈の音が
いつか止まってしまうんじゃないか
この音が私の耳元で聞こえなくなるんじゃないか
恐ろしかった
神様、私より先に連れて行かないで
祖母がいないと私は1人だ
毎晩何度も願った
それから腕枕は苦手
人の命の音は苦手
祖母は相変わらず元気で
神様に願った通り
私より長生きしそうだ
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