鍵穴/
千波 一也
鍵穴を覗くと
真っ暗です
わたしにとっての鍵穴は
鍵穴にとってのわたしは
見えずともよい間柄
なのでしょう
互いが
そこに
在ることを知ったうえで
見えずともよい間柄
なのでしょう
鍵を仲立ちに
つかの間だけつながって
ときに
つかの間のつながりさえ
感じぬままに
気づかぬままに
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