蛍光灯がきれて買いに行く日/浅見 豊
 
朝 起きてくると
窓越しに
遅く咲いた百合の花があって、
君はガラス越しにそれを見ていた
こちらを振り向くこともなく

 台所では
 しじみが口をあけてことりと音をたてる

僕は煙草に火をつける
銀色のきれいな灰皿
薄暗い部屋の中で
おもてのほのかな影が踊る

(静かだね)
(煙草はよくないわ)

いつもの朝は黙ったまま過ぎ
光はおもてにあふれている
言葉は時の中に溶けて流れ
時折ふたりの影を揺する
線を描くあおいけむり
(……そう)
僕は煙草を消す
その向こうの空で
雲は
どこかへ(それはこどもたちの笑い声)
ゆっくりと(きらきら)
流れ(
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