アニメーターの独り言。/梓ゆい
 
(制作)進行がはっぱをかけるので
窓から逃げだした。

ドアが激しく鳴っている。
ベルも激しく鳴っている。

「うああああ!!!」と叫んで
僕は駆け出した。

UP日に追い立てられたので
何も見なかったことにしたいと願った。

無駄だった。
駄目だった。

(斜め後ろから、こちらを見つめる視線が一つ)
僕は黙って時間との格闘を再開する。

「今日の状況は、いかがでしょうか?上がりは頂けそうですか?」
互いに死んで欲しいと願う納品前。

(僕は思う。)

何故・・・・。家に帰れないのか?
布団を敷いてそのまま死ねたのなら
「どんなに、救われるのかを。」

僕は向き合う。
僕は紙と肌を汚し続ける。

もうすぐ訪れる新しい夜明け。
いくらこの手を止めようとも
決して待つことは無い納品日。



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