すべての梢は止まり木である/そらの珊瑚
 
夕暮れがやって来る頃決まって私の腕に止まる君
ねぐらへ帰る途中なのだろう
一羽であることもあるし
友達を連れてにぎやかにさえずることもある
いやもしかしたらきょうだいだったのかもしれない
あの遠慮のない騒ぎようは
ささいなことで争う
世に言うきょうだいげんかだったのに違いない

今日は二羽で来た
おそらく君は恋を見つけたのだろう
あんなに広い空のどこで
見つけたのだろう
見つけ合ったのだろう
やたらにいい歌をうたう

冬の気配に取り巻かれて
私はすっかり葉を落としてしまったし
小さな虫も姿を消したから
つがいになった君はもう明日は来ないだろう
楽しいよりみちは終わるのだ

唐突に君は飛び立つ
風の次に身軽な君のその小さな足や爪のどこに
そんな力があったのかと毎回驚くばかりなのだが
生きつないでいくことは
重力にあらがい蹴ることなのだといわんばかりに
思いを残すことなく君は飛び立つ
その反動でつかのま私は揺れながら
その黒い影を
それが残像になった今でも静かに見送っている



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