歌が聞えてくる/ただのみきや
れない そんな歌が
ひとりきりで歌う歌がある
生と死
希望と絶望が混じり合った
見えないひとつの道が敷かれて往く
原初の傷から地の巡りの果てへ
すべてはアカの他人
狂おしくも愛すべき他人
わたしが歌う歌がある
まだ歌ったことのない歌がある
まだ聞いたことのない歌が
誰でも耳にすればそれが
それであるとわかるのだ
死に臨んで尚も歌は生まれてくる
忘我の舟を漕ぐ鼻歌
夢の散歩道の口笛
誰もが懐かしむ未完の歌がある
《歌が聞えてくる:2015年12月5日》
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