キャンバスに色が付かない/佐白光
 
見失ってしまったもの

いなくなってしまった人

寂しさを感じた時から気づく

キャンバスに色が付かない

何を塗っても なにを描いても

絵具を替えても 筆を取り換えても

キャンバスに色が付かない

そんなに大切なものだった

そんなに大切な人だった

キャンバスに種をまき

感情という池から零れ落ちた 水をまく

春がくるまでは キャンバスに色が付かない
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