ハ長調を奏でる波長/凍月
間は動き出す
不規則に乱れる時計のように
現れては隠し
現れては隠し
ぱちん ぱちん と
まるで目蓋を閉じる時の音
(君の姿が瞬いた)
君に知られてはいけない心は
裏側で同時に
君に此の感情を伝えたい と
次第にくるくると回り出す
慣れない手付きで
僕は此の感情を持て余す
呟いては隠し
吐露しては隠し
また体の奥が鈍く痛み始めた
心が鈍く光り始める
思慕と葛藤に研磨され
鋭さを増して僕を斬る
此の想いは凶器だ
血がぷつぷつと溢れ出す
僕は悟る
何時までも刃を隠せる道理は無かった事
僕が君に惹かれる限り
消す事も捨てる事も出来やしな
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