叫びたい。/梓ゆい
 
志を掲げ/ぶれ一つ無く佇む詩人の背中。

「紡ぎだされる詩になりたい。」と
朗読を聞きながら思った。

(愛おしい・好きだ。)と言う気持ちも
詩を愛する心の前ではかすれてしまう。

奥底から叫ぶ声/魂から生まれる言葉
それらは周りに居る者達の時間を止めた。

通り過ぎた残像を捕まえようとしても
かすり傷を一つも残さずに
詩人の存在はそこにある大勢の視線を
自分だけの物にする。

(ある瞬間向けられる視線を、私だけのものにしたかった。)

脳天に刺さった言葉は
身体の中であばれまわり
染み込むように毛穴から出て行く。

最後の時
拍手を浴びて深く礼をする詩人は
辺りに散らばる言葉を手の中に掻き集めだした。

ただ一つ
「紡ぎだされる詩になりたい。」と願う
秘めた心を置き去りにして。





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