「われわれは、愛と平等を否定」しうるか?−「障害」と「言葉」の関係を繋ぎなおすための考察/石川和広
 
 脳性まひ者の運動の言葉の中で、私に、とても印象を残したのは、「青い芝の会」という団体の「われわれは、愛と平等を否定する」というものだった。
この言葉は、たとえば、十九世紀末の詩人哲学者であるニーチェのキリスト教の「同情」批判と近い趣があると感じる。ニーチェも、五年間で大学を退職し、あとは、大学からの年金で、転地療養生活を送っている。社会的には今で言う「障害者」だ。

 そもそも、かれら(青い芝の会)は、なぜ、キリスト教的語り口の否定=「われわれは、愛と平等を否定する」を、行ったか?かれらの直感では、現実との、精神的あるいは現実的齟齬そして葛藤を無視して、「同じ人間ですよ」と話をすすめられる
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