尾行/
高橋良幸
に乗せられない
わかっていた、迷うから歩いていたことを
迷いながら歩いていたのだ
もし立ち止まらなかったとしたら歩いていたこの先に
立ち止まった俺がついていけるのか
俺はあとをつけていくのか、どの俺の
あとをつけていくのだろうか、
立ち止まったまま暮れそうな寒空に耳を澄ましている
ふりしきる紅葉がカサリ、カサリ、擦れて
冬を尾行していくリズム、リズムと
いま歩き出すしかない音に似た鼓動、こどう
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