赤い微睡みに馳せ/秋也
 
神が六日間でこの世を創り
母が十月十日で僕を創った

僕はこの世に産まれ
きっと謳歌する

感情
感覚


匂い
世界
この世の総て

やがて絶対母が死に
多分きっと僕が残され
涙を落とす

そしてやっぱり絶対僕も死ぬ
この世は世界なのだから
母が消えようと
僕が無くなろうと
ずっとずっと続いていく

胎内で考えた
僕が産まれて、僕が泣き
僕が産まれて、母が僕の小さな指と握手し
母が亡き、僕も泣く
ずいぶん間が抜けたけど

神は順番にこの世を創り
七日目に少し休んだ
前も母に言われたけど
「みんな順番なんだよ、だから怖くないんだよ」

なるほど
寂しいけれど怖くないはずだ
僕らも順番通り少し休む日まで仲良く過ごそう

時に夕焼けの美しさ
神の労働の賜物
夕焼けは四日目に出来たけれど
チョコレート味の夕焼けは七日目より先に出来たはず

十月十日
胎で漂える
心地良さ
変え難く
譲れず
甘さわずかばかり残る夕闇へ 
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