くらい/管城春
触れるとつめたくてあたたかい
やみはやわらかい
しなやかに伸びる人工的な曲線
そのさきに灯るひかり
まるいほのおに囲まれている
漆喰はそれを反射している
揺れ踊る微細な動きに意味を見出すことはない
意識が溶ける
見えなくなる
いたみは隣人としてすぐ側にあって
疎うものではない
やみはいつもやわらかい
旋律が中空をただよっている
音はしばしそこにあって、それから溶けて消える
ひとのつくったくらやみのなかに
ひとのつくったあかりがともって
わたしたちは営まない
生活と乖離したはるか底の世界で
出会う幻影とゆびさきだけを絡めている
どこにでも行けるからここに立つ
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