たいせつの歌/梅昆布茶
 
たいせつをさがしている
大袈裟でもなく控えすぎず弾力をもつもの

空は低いが僕の中にそれをおしあげる力があるだろうか
誰も風化しない星々も変化しないのではちょっと困るのだ

粘土のように塑性をもった背骨を
あるいは硬骨魚の外郭をちっちゃな鑿で削りながら

たいせつを温存してちょっと迷ったが
いいのだ背もたれがほしかっただけなんだと

もう高度のひくいグライダーはいつも隙間にはさまってしまう
呼吸するちいさな地図を広げて世界をさくさくとあるこう

ティンカーベルはそっとほほえんでタクトを放り投げると
たいせつをおりたたんでちっちゃな胸の谷間に挟んだ

しゃがみ込ん
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