遺書の切れ端/
凍月
僕は彼女を名付ける事にした
彼女は僕の天秤が
どちらに傾くのか知らない
僕は彼女の知る真実から
不確定だといって目を背けた
嘘は
特定の誰かを騙す為に
鍵は
特定の誰かが見れば繋がるように
コインは忘れられた運命の空間を
目眩がするくらいゆっくりと落ちる
その間、一回転もしない
(それでも、真っ直ぐ落下するコインなんて無い)
沈黙は僕のために
或いは其の冷たいコインのために
だから僕は
彼女に名前を渡す事にした
−−砂時計が動かなくなる前に
戻る
編
削
Point
(4)