薄暮の街で/
そらの珊瑚
肉体だけが失われた
魂だけになった人々のすむ世界は
遠くて
案外近い、のではないか
たとえば
風の吹いてくる方角に向かい立ち
乾いてゆく眼球の映す景色が
そのまばたきのたびに
一枚の写真になり
さざなみをつなぎあわせるような一日の
終わり近くにあらわれる
うすねずみ色の翳(かげ)が
まるでヒトガタに
ゆれている
ゆうぐれの透過
誰か、のような気がして
確かめてみる
魂を
魂のありかを
二本の腕を交差させ
抱きしめて みる
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