笹船に乗った自己愛/ただのみきや
 
狡猾であり
幼稚でもある
すべては悲しく美しい
そう
狡猾であり
幼稚なのだ

幾日も 
幾年もかけて
日が沈む
その終末の真っ赤な空を
眺めては小さな飴を頬張るように
感慨にふける
煌めきを纏いながら
ただ自らのために涙を流す

時が謀るのではない
心が心を謀った
自分が自分に
そっと目隠しをした
激流には抗おうとするが
緩やかな
春の日差しのような流れには
行く末を忘れて
ゆだねてしまう

幼稚なのに
狡猾でもあった
そう
すべては醜悪で滑稽
それでも
悲しく美しい夢に溺れて
流されて往く
白い蛙のように
煮えたぎる明日へ



        《2015年11月23日:笹船に乗った自己愛》






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