utsusemi/草野春心
 


  或る糸が……否、
  生温い 呼気に似た
  細ながく冷たい白さが
  頭上から垂れてくるのを
  待っている……夜に、私は
  その影が たとえば ツルリとした
  薬缶のおもてに映り がらんどうの眼を
  突き刺すのを待っている (私たちを)
  撃ち砕くのを
  踏みにじるのを



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