ホールケーキのありかただとか/あおば
 
ない7号ケーキを焼いてデコレーションする職人
綺麗なお姉さんは、赤いイチゴの配置を考えない
彼女の深い信仰心が遅疑逡巡を許さない
機械的に見えるけれど1ミリも位置を違えない正確さで置いてゆく
まるでデコレーションロボットみたいと口に出していえないほど見事な手つきだ
なんにも知らずに喰らう連中には分からないことも多いのだと
電話口で僕は実感した
ケーキにまつわる話には不思議なことも多いが
大抵はスイートな結末で終わる
唯一神と八百万の神が仲良くしている限り味は落ちない
信仰の対象の森や山はいつまでも同じ佇まいでありたい
和歌でも詠みたいほど君たちも純粋になる甘い日でもあるのだと
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