空し、空/あなろぐ時計
 
青い穴の中に白をくゆらせ、
朝と夜、晴れと雨、
春夏秋冬の色に、移ろう空

日の差すを拒まず、飛行機を拒まず、
歓声も、文句もお構いなしの態度の、
世界最大の、偉大な空洞

シャツの襟をナーバスに正して、慌ただしく働く地べたの獣
それを嘲ることすらしないで、のんびりと見下ろす巨大な空洞

灯火の消えた魂が空に還ると云うのも、頷ける気がする
空が美しいなどと宣えるのは、人間もまた空しいからだろう
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