看取り(1/3)/吉岡ペペロ
 
保育所に息子を迎えに行くと、新しく入所してきたと思われるこどもにじっと見つめられた。ぼくが肌の色のちがう黒人だからだ。
コンビニの明かりに照らされたりしながらぼくは息子と家路をたどる。息子はぼくよりも上手な日本語できょうあった出来事を喋り続けていた。つい職場での聞き方になってしまう自分がいる。
職場でも痴呆のご婦人によく話しかけられる。
「すき焼き食べに来てください」
目があうたびそのおばあさんはそう言う。ぼくは微笑みながらやり過ごす。
「だって、おさるのジョージもアンパンマンも知らないんだよ」息子がテレビを見ないともだちについて喋っている。息子はちいさい手をぼくの三本の指に引っ掛けるよ
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