芥子色の北風(四)/
信天翁
なぎさでさわぐ波濤のように
名前まけする 小公園の
こだちがざわめく 晩秋 に
卒寿となった おひとりさまは
もっぱら せまりくる
おのが身の陰影(かげ)に追われる
甲高い鳥のさえずりと
ときをおなじくするように──
あゝ 遠くで鴉がうなっている
近くでキジバトが呟いている
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