朝けの袖/藤原絵理子
 

静まった水の鏡に ラムプの炎揺らめく
消え残った恋の余韻 燃えつきるまで
髪を撫でていて もう一度連れて行って
きみを振り向かせて 繋ぎとめたい


夜半にふと目が醒める 夜翔ぶ鳥の声
洩れ入る月の光に浮かぶ 肌の色ほのかに紅
膝をかかえて丸くなる 失くした夢の続きを
まだ覚えている 指の感触の優しさまで


夢だとわかっていたなら
もっと甘えておけばよかった 
抱きしめられたときの 安らぎを


落葉が冷たい風に踊る にぎわう舗道
いつもきみがいた あたしの左側 その虚空を
見知らぬ人が 軽やかにすれ違う

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