モグラ/もり
 
ースデーケーキには「それらしい」メッセージを添えて。
だが断る理由にしては弱すぎた。
謝罪の機会を与えてもらっている以上、おれにここで説教する資格はない。今は・・。

できる限りゆったりと話せる、状況によっては大声も出せる、そんな防音設備が整った店に入りたかった。しかし、この寂れた駅でそれが叶うはずもなく、とりあえずチェーンの居酒屋の個室におれたちは腰掛けた。
さいわい、鍋物メニューが今週からスタートしており、イモネの気のおもむくまま、注文はなされた。
お互い三杯目を飲み干すあたりで、おれは改めて彼女に頭を下げた。
朝採りの白菜を食いながらその言葉を聞き終えた彼女は、ゆっくりとキャス
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