モグラ/もり
ャスターに火を点け、紫煙を吐きながら淡々と言い放った。
「あなたは、鍋の中の絹ごし豆腐よ」
「私には、救いきれない」
それっきり押し黙った彼女はその後、食うだけ食って、飲むだけ飲んで、吸うだけ吸って、おれに会計をまかせてトイレに立った。
夜更け。部屋でモグラの干物をアテに、焼酎をすする。
帰り道で差し出す、というよりは押し付けられたチェンマイ土産のトレーナーに書かれた不思議な日本語を見つめる。
「は思う おだいじに。ずっとあなたのそばにいるよ」
それを着た自分自身。
砂嵐がぼんやりと照らす?。
背後で寝息をたてている女。
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