しゃぼん玉/鷲田
のに、孤独になった。
少年は皆のことを考えていたのに、一人になった。
思考と行為は別れ得る。
思っていることと、思われていることの境に。
思っていることと、やっていることの境に。
社会という鏡には自分の顔が本来の姿とは異なって映り、
ギャップが生まれ、消えて行く。
それはまるで、丸くて大きいしゃぼん玉を作りだすかのように。
今日も少年はどこかで無視される。
その一つの思いはしゃぼん玉となり、社会の空に舞っている。
夕暮れの空の暁に、孤独な明かりを微かに灯し。
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