星空銀行地球支店/やまうちあつし
 
朝刊を取ろうと外に出て
ふと見上げた空には
星が一列に瞬いていた
わたしは清らかになった
ふりをして
冷たい朝の空気を吸い込む
正しいこととか善いこととかから
いくらか距離を取ってしまった
(数センチだか数光年だか)
けれども
星空を胸に貯蓄したなら
どうにかなるかもしれない
心に利子がついた気がして
淹れたコーヒーを一口飲んだ
どこかでチャリン、と
音がした

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