水草と魚/そらの珊瑚
あなたが水草だった頃
わたしは産まれた
あなたは水草の味がした
ここにつどうすべてのいのちは
いのちをきょうゆうしている
だから
それをざんこくなどとおもわないでおくれ
あなたはそう言った気がする
あれは
わたしが巣立つ朝
光満ち満ちて
あなたと別れて
どこかへ向かう朝
ながい時間を経て
ふるさとへ帰ってみれば
水草のあったあたりは崩れ去り
水草であったあなたはもう
かげもかたちもないけれど
ざんこくなことだとおもうのはよそう
あなたの魂は今
わたしの芯でやさしくゆれて
旅の途中できょうだいたちはみな食べられ
ひとりぼっちになったわたしを
あやしてくれる
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