爛熟/白糸雅樹
 

認識し定義し分類されてこぼれていくものがある
 
誰もわたしに触れられないだろう
饐えた果汁をしたたらせ
声をあげ
観客をもとめて身をのたうたせる
 
時ならぬ遠吠えに
町内の犬どもが不安げに合唱をはじめる
 
わたしは紅い実のえぐさを噛締めながら
足指の先から髪の先から
からだの芯から醗酵した果汁をしたたらせている

                      2005.01.30
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