夢と知りせば/藤原絵理子
 

窓ガラスに張り付いた もみじがはがゆい
暖炉に火を入れた午後 雨はやまない
あなたを待っていた 知らない間にうたた寝
溝に吹き溜まった 心の破片はまだ紅い


冷たい秋の雨は 落葉を急がせて
華やかな紅は移ろい 色褪せていく
ときめきに踊って 輝いた季節は
ありふれた日々の暮らしに 埋もれて無色に


うわの空になった あなたの瞳が
許せなくて 意地悪になった
なんでもないふりをした 強がって


あなたからのメールが うれしくて
開こうとした瞬間に 目が覚めた
恨めしい夢 もう起こりもしないことを 夢は

戻る   Point(7)