牛めし屋にて/
もり
ワンコインで釣りのくる
牛めしのスクランブル交差点
その中心で
若い女の子は
額に汗を浮かべた
交通誘導員のよう
一方的に響く
「ありがとうございます」
自動ドアだけが
クールに仕事をこなしている
ふと、どこからか 聞こえた
「ごちそうさま」
茶を汲むのに精一杯で
今度は彼女のほうが
聞こえなかったらしい
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