はじまり/葉leaf
宇宙と宇宙とをつなぐねじれた通路の辺りに、私は一人の少年を閉じ込めている。闇と光とが互いに消化できないまま渾然と渦を作っている野原で、少年は毎日少しずつ違った表情を見せていく。
この少年には友達がいないので、とても寂しそうでいつも涙声だ。だがこの少年は人間を信じられないし、誰にも自分の世界を侵されたくない。だから友達などできるわけがなく、解決不可能なジレンマでますます泣きそうだ。
私の存在は柔らかく瑞々しい。他者の視線や言葉、存在をうけとめるクッションとして、他人や社会と上手に形を合わせていく。私は可能な限り変形を自在に行う。自分が生まれる前より形成されていたこの人間同士の不可避な回路につなが
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)