フェイクレザージャケット/奥畑 梨奈枝
見放されてしまった
その先のことを考えていた
しかし恐るべき末路などなかった
マッチを擦って皿に置いた
小説を読み小説を捨て
腐った部屋のゴミの中で寝転がり
息をするたび苦しさを感じて
スマートフォンの画面に
インターネットの記事を見れば
仕事が出来ない奴ほど副業に走る
という文がちらつき
本当に俺は詩人なんだ
俺は芸術家なんだ
そう己の心に
往生際のわるい嘘を塗りたくって
受け売りの言葉を並べる俺の渇いた舌が
だんだん臭くなっていく
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