海底のアダージョ/レタス
 

深海に眠る
青年の宴の余韻が波のように
私を侵食する

酒宴は彼らのものだった

眠れない
彼らの酒宴は果てもなく
今も続いている

若い君は金曜日のカレーに夢をみて
年老いた者は塩物に過去をみた

漆黒の海底に降る雪を
肴にしながら
彼らが歌う

近づく私の気配に
彼らは歌うことをやめた

生けるものと
死せるものとの境界線

深海に眠る悲壮な
協奏曲は今も続く

繭に閉じ込められた
彼らの想い



戻る   Point(3)