愛は実体/ただのみきや
ああ
私 過呼吸が出て 苦しくて
ギリギリまでねじれる首
ギリギリを越えた流し目の怪
あたまの中に ピシッとか パシッとか
ラップ音が響いて
エロチックとグロテスクとホラーをシェイクして
うんとドライにして鼻と喉に一度に流し込まれたみたい
ロマンスの終わりがR指定なんて
突然あなたは跳ねるように首以外を反転させた
一瞬勘違いして悲鳴を上げちゃった
あらわれた月の裏側に
――へのへのもへじ!
ソレ……
ドウヤッテ
カイタノ?
ロマンスに実体はない
世界一素敵に見えた
夜店の指輪からメッキが剥げおちる
実体を
実体の実態を
抱きしめることができなければ
ロマンスは風に飛ばされる
ごめんなさい
私 自分の目を覚ますために
あなたの頬をおもいっきり平手で打ちました
月の裏側の思い出を
呪いのように断ち切ります
新しいロマンスを捕まえるために
《愛は実体:2015年11月7日》
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