愛は実体/ただのみきや
 


「想像してみて
     満月に  へのへのもへじ 」

「さらに  ウィッグ 」


なにかが繋がらないまま
このロマンスを信じようとしていた
でも呑み込めないまま
手足の指先がどんどん冷たくなって

あなたは私の前に回って
突然大声で愛を語りだした
語尾が不自然にリキんでいて
ああきっと これラップ?
すごく変でへたくそだけど
ラップなのね

その時ふと気が遠くなって
私 時空を超えたみたい
成層圏まで彷徨い出て
月に向かって祈っている女のひと
見たような気がしたの
あなたがいつか出会う あなたの運命のひと
そのひとが必死にまだ見ぬあなたを
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