母の肖像/レタス
 

もの言わぬピエタを前に
ぼくはすでに言葉を失っっていた

何を語ることもなく
鼓動だけはゆっくりと打ち続けていた

螺旋の彼方に消えて往ったおかあさん
ぼくは何かを伝えたかった
もう それは叶わないことなのに
もう 憶えていないことなのに

たぶん きっと
ぼくが静かに生きて
やがては死を迎えることを
貴女は幸せに感じるに違いない

おかあさん
教えてくれた歌は忘れないよ

千年を越え
輪廻を続ける貴女の魂は
いまはもう
一言もなく
パルサーのように
ぼくの鼓動に点滅している

青白い光は約束の歌だった


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