いつか失ったものたちへ/梅昆布茶
 
きみが奏でるインプロビゼーション
太陽がさししめすデスティネーション

私はずいぶん整理されたのかもしれない
まるで骨格のように洗われるだけになりたいと

素朴な島人でありたいと心底おもったことはないが
いまはすこしだけ離島に棲んでいる

ときどきは足が病みすでに老眼である視界は狭窄しつつ
それでもなにかを追ってさらにちょっとだけ失ってしまう
それが心地よいのかもしれない

乱反射する歴史のたくらみや
閃くたびになにかしら痕跡をのこしてゆく
人間という不可思議の森

老廃物のうえにさらなる
なにかをかさねてゆくことで

じぶんがたったひとりの
難民であることに気づく

しかし私の敬愛するひとびとから
ひきついだ卵を暖めてゆかなければならない

誇張も縮小もできない無垢を
ちょっと薄めて生きること

あなたに教わった生き方だ



戻る   Point(17)