深まる秋/藤原絵理子
誰かと口をきくのも嫌だった1日
夕陽に照らされて石畳を登る 淋しさに会いに
前を行く人の影を踏んで 後ろは振り向かない
そこに 幸せな顔があると 嫌だから
半分乾いてしまった 冷凍ポテトを
揚げている 復讐でもするみたいに
みっともなく 霜がこびりついて
賞味期限なんて もうとっくに過ぎている
愛だと思っていた
熱に浮かされたような 瞳
大人ぶって こんなもんだわ なんて 嫌
どこか遠くを眺める 消えた町並みを懐かしんで
青ざめたカラスが 見下ろして鳴く
「お前の居場所は ここじゃない」 と
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