ノート(冬の蝶)/木立 悟
鉄は不可思議の組み合わせ
ひとつにひとつ
燃えさかる蛇
器の海を呑み干すけだもの
灰の駅 灰の汽車
川底を浚い
放る羽
光を終えた光に群がる
凍えた青空の音を拾い集めて
冬の径をゆくけだものを造った
森へ消える手前で立ち止まり
鉄路を振り返る幾つかの背を
誰も顧みない足跡に
棘の火が落ち 燃えてゆく
金を蒼を呼ぶ喉は
やがて龍に去ってゆく
止まった川の
厚く長い尾
けだものの背に爆ぜる光
淡く小さな 羽の光
青と白の曲がり角
降り積もるかたち かたちたち
砕けたものを踏みしめながら
羽は空への坂をのぼる
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