キンタマ王子、詩人になる/花形新次
 
キンタマ王子は無職だった
42歳で無職なのは体裁が悪かったので
とりあえず何か仕事をしようと思ったが
働くのが嫌だったし能力もなかった
そこでキンタマ王子は
2週間考えた末に
詩人になることに決めた
詩人なら資格も要らない
完全自主申告制だ
最近は詩のサイトに
適当に投稿すれば
一応人の目にも触れるし
印刷して閉じただけの紙くずに
値段をつけて、売りますとかコメントしておけば
もう立派なビジネスだ
ただ、未来永劫売れることはないが

「それがどうしたと言うんだ
金は色々手続きすれば
死なない程度には
口座に入って来るもんだぜ」

キンタマ王子は
誰がなんと言おうが
詩人なのだ

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