戦後詩を現代に読み直す際の留意点/葉leaf
 
人々はその新しい波に突入しながら徐々に慣れていき、その内面を深めていくのである。
 詩人とは無限に接する人間のことである。人生のレールという有限な道筋から少し外れ、その外側に広がる無限の存在を探求する存在のことである。詩人にとって無限は虚構の形をとるかもしれないし、微細な認識の形をとるかもしれない。戦争には戦争の無限があった。同じように現代には現代の無限がある。
 確かに、戦争の傷跡は大きかった。それは質的にも量的にも特異なものであったことは否めない。戦争が詩の表現に与えた影響は大きい。だが、詩が表現される際には、戦後でも現代でも同じような構造が働いているのであり、その共通性を認識したうえでさらに戦後の特異性を探っていかなければならない。逆に言えば、戦後詩の表出のされ方を探ることは現代の詩の表出のされ方を探ることにも大いに役立つのである。戦後詩の構造を探ることは、現代の詩の構造を探ることにつながっていくのである。

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