モノポリー/ただのみきや
 
祈るようにサイコロを振る
嫌な予感は的中した
すでにホテルの建った銀座 わたしの靴は落ちた 
このままでは残りの土地を売却しても破産してしまう
なんとか逃れたくて 頭が高速回転を始める


 わたしはホテルのオーナーをチェスの勝負に誘った
 勝ったらタダ 負けたら倍払い ところが
 オーナーは自分ではやらず滞在中の別の男を代理として連れてきた
 オデコが大きく孤を描いた笑わないロシア人だ 
 こいつはチェス以外に何一つ生きる目的がないような男で 
 視線と右腕しか動かさずにわたしの駒を次々と屠って行く
 そのペースはもはや戦と呼べるものではなく一方的な殺戮だ
 今や絶体
[次のページ]
戻る   Point(8)