モノポリー/ただのみきや
祈るようにサイコロを振る
嫌な予感は的中した
すでにホテルの建った銀座 わたしの靴は落ちた
このままでは残りの土地を売却しても破産してしまう
なんとか逃れたくて 頭が高速回転を始める
わたしはホテルのオーナーをチェスの勝負に誘った
勝ったらタダ 負けたら倍払い ところが
オーナーは自分ではやらず滞在中の別の男を代理として連れてきた
オデコが大きく孤を描いた笑わないロシア人だ
こいつはチェス以外に何一つ生きる目的がないような男で
視線と右腕しか動かさずにわたしの駒を次々と屠って行く
そのペースはもはや戦と呼べるものではなく一方的な殺戮だ
今や絶体
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